宿根草の庭を作ってみよう
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宿根草は秋植えがおすすめ!

 園芸用の草花は大きく分けて一年草と宿根草があります。宿根草は長生きするので生育サイクルもゆっくりです。一年草は短命なので急ぎ足でたくさんの花を咲かせます。ですから、楽しみ方も違ってきます。宿根草は花が咲く半年前に植えておく、一年草は咲いた状態で植えてすぐに楽しむ、という感じで分けて考えます。
 例えば春に咲く宿根草は半年前の秋に植えておき、春に咲く一年草は春に植える。これが基本となります。宿根草を秋に植えてガーデンの核を作り、足りない部分は春に一年草を植えて補う、という方法がおすすめです。
 寒さに強い宿根草でも、もちろん冬越しにはリスクがあります。それでも秋植えをおすすめする理由は結果が全く違ってくることにあります。宿根草は寒い冬でも根が動いて成長を続けています。根がよく張った状態で春を迎えると、そこからの花期には本領発揮してたくさんの花を咲かせてくれます。そして根がよく張った状態であれば花が終わった後も体力が残り、暑い夏も乗り越えていけます。暑さで夏に宿根草を枯らしてしまう、そんな経験のある方は、秋植えをお試しください。
 もちろん、春に宿根草を植えることも悪いことではありません。ただ、春に植えるより秋に植えた方がボリューム感、丈夫さ、夏越しの成功率は大きく上がりますので、おすすめです。
※ 秋~冬の植え付けは 寒冷地は11月までに、暖地では年末までには植えておきましょう。暑さの残る暖地では10月下旬から11月上旬が適期です。

庭に取り入れるメリットは「季節を感じられる」こと

宿根草を長年育てていると気がつく魅力のひとつに「花期の短さ」があります。多くの宿根草は、その季節にしか咲かないので、決して花期が長くはありません。すぐに咲き終わってしまうと、つまらないと感じる方もいらっしゃるのかもしれませんが、「はかない花ほど美しい」と例え言われるように、その季節にしか咲かない、その一時の花こそ美しく見える、そんな気がします。
休まず長く咲き続ける一年草や新しい改良種は、庭をきれいに飾るには重宝するのですが、いつまでも咲いていると、飽きてしまったり、季節感がないと感じることがあります。

宿根草は花期が短いからこそ、それぞれの時期に咲く花をいろいろ植えて、花のリレーを楽しんだり、組み合わせて競演させてみたり、そこに多くのバラエティが生まれます。段々と庭の花の種類も増えていくことでしょう。多くの植物との出会いを楽しみながら、自分だけのオリジナルの庭を作ってみてはいかがでしょうか。

四季折々に咲く花を見て季節を感じ、自然に移り変わる庭の景色は、多くの発見や感動を与えてくれます。その時期しか咲かないことで感じる喜びやありがたみ、開花が終わっていくときの少しの寂しさ、など、宿根草の庭は風情豊かです。昨今は気候が崩れ、四季の輪郭がぼんやりしていると感じますが、そんな中でも宿根草はきちんと季節を告げてくれます。

宿根草には魅力がたくさん

宿根草、多年草は、簡単に言えば一度植えれば冬や夏を越して、毎年楽しむことができる草花です。生命力が強く、暑さ、寒さなど過酷な条件下であっても毎年芽吹き、凛と花を咲かせる様子は、見る人に感動を与えてくれます。
宿根草は植えておけば勝手に育つ、手間なしでリーズナブルなイメージがあるかもしれませんが、育てるにはたくさんの苦労があります。環境に適さずに枯れてしまうこともありますし、周囲の雑草とり、季節それぞれの剪定や手入れ、暑さ寒さ対策、などなど手間がかかります。一年草を咲かせて季節ごとに植え替えていた方がよほど簡単で、きれいに保てるかもしれません。それでも宿根草の庭に根強い人気があるのは、長くお世話をし、長く付き合うほどに愛着が湧くことにあると思います。今年も咲いた喜び、小さな発見に感動したり、植物と親しむ時間は他に代えがたいものです。毎年少しずつ成長する宿根草と、知識を得て成長する庭主、この繰り返しで長い年月をかけて庭が出来上がっていきます。その中で癒し、楽しみ、喜びなどを得られることが大きな魅力です。

他にも魅力の一つとして「花期の短さ」もあります。当然、花は長く楽しめた方がお得感があるものですが、宿根草は一期咲き、ワンシーズンしか咲かないものが多いです。しかしながら、毎年同じ時期に咲くことで季節を感じ、自然に移り変わる景色こそ、素晴らしいと思います。その時期しか咲かないことで感じるありがたみ、開花が終わっていく少しの寂しさ、どこか風情を感じます。
花期が短いからこそ、それぞれの時期に咲く花をいろいろ植えて、花のリレーを楽しんだり、組み合わせてみたり、そこにバラエティが生まれます。自然と庭の花の種類も増えていくことでしょう。これも宿根草の花期が短いからこその楽しみではないでしょうか。

育つ環境を知ろう

宿根草を育てるうえで最も重要なことは、その植物、それぞれに適した環境を選択することです。庭植えで、適した場所であれば放任でも育ちます。宿根草の多くは原種に近い性質なので、その植物が自生している原産地を再現することが理想です。もちろん、それぞれの原産地を見に行くことは難しいですから、ネットで調べてみたり、姿から想像してみましょう。適していると思う場所に植えてみて、生育の様子を見守ります。生育が良ければ正解です。生育が思わしくなければ、適していませんから、無理に育てるよりも場所や環境を変えましょう。よく育っている宿根草の近くに、近縁種を植えていくのも方法の一つです。

用土や肥料は?

土づくりが一番の基本となります。土が合わないと上手く育ちません。植え場所に培養土を入れることが最も簡単な方法ですが、注意すべきことは肥えすぎた土や、多肥を避けることです。
一年草であれば肥沃で構いませんが、ゆっくりと長生きする宿根草は栄養が多すぎると生育スピードが早くなりすぎて軟弱に育ち、結果、短命になってしまいます。自然に生える野草に肥料をたくさん与えれば、すぐに倒れてしまうでしょう。それと同じで、宿根草は野生に近い種類が多いため、肥沃な状態は避けます。水分も常に潤沢であれば延々と伸び続けてしまい、徒長の原因になります。
コツは水分が抜けやすく、少しだけ痩せ気味の土に調整することです。そうすることで根がゆっくりと伸びて耐性がつき、長生きする株に育ちます。
もし庭土や、使っている培養土が肥沃であれば、無機質な用土を混ぜてバランスを整えましょう。軽石や赤玉土などを使うと多肥を抑え、水はけも良くなります。逆に痩せすぎている土地であるなら、肥沃な土を足します。大切なことはバランスです。痩せている、肥えている、極端な状態は避け、イメージとしては「真ん中より少しだけ痩せている」ことを心掛けてください。
宿根草は本来、適した土であれば肥料は全く必要ありません。肥料をやらなければ育たない状態であれば、それは「適していない」ということです。もし、あと少し生育が足りないのであれば、肥料を使って補いますが、その環境や土が大正解ではないことを理解しましょう。

デザインなんて気にしない

美しい宿根草の庭を拝見したとき、特に種類の組み合わせに目を奪われます。この組み合わせは必然なのか、偶然なのか。考えませんか?
多くの場合、これは偶然であると思います。大まかに分かっていても、咲く時期、草丈、株張りは環境によって差が出て、正確に計算はできません。
花の競演が偶然ならば、デザインばかり考えていても仕方がありません。好きな花を予測で配置して、とりあえず植えてみましょう。その場所での成長の具合、咲く時期を1年ほど観察すれば、特性は掴めるはずです。宿根草は若いうちの移植が難しくありませんから、そこから改めて配置をしてみても遅くはありません。もっと成長が良い場所に移してあげることも大切なことです。デザイン通りにいく庭は、なかなかありません。少しずつ、じっくりと庭を作っていきましょう。立派な宿根草が見事に咲いていれば、デザインのことはすっかり忘れているでしょう。